分数ができない!





私が、某集団塾で室長していた頃、中2の2学期後半に入塾してきたときの9科目合計の成績が40以上、数学も4の生徒がいました。入塾前から、文章題はあまり間違えないのに計算問題でミスをしてしまい数学の成績は「4」止まりでした。でも、誰もがケアレスミスが多いだけだと思っていました。私もそして保護者も。
不可解に思ったのは、数学の定期テストの答え合わせをしていたとき、たまたま彼の答案を見ると、一部の文章題と計算問題が空欄になっていました。
問題用紙のほうを見ても解いた形跡が見えません。
手を付けていない問題の共通点はいずれも分数が入っている問題でした。
中学生の中には、分数の足し算、引き算を苦手にしている生徒もいます。
でも、やらせると分数の足し算、引き算はできる。私の勘違いかと思いましたが、かけ算とわり算の答えが、あまりにも違っていました。
                           

どうケアレスミスをしても上記のような答えにはならないので、途中式を書かせると
         

彼はかけ算、わり算でも足し算、引き算同様、通分して分子だけをかけるということをやっていたのです。そして、何度やっても間違いのなるので、分数のかけ算、割り算の入った問題は手を付けなくなったということでした。
でも、彼のやっていたやり方よりも実際の分数のかけ算わり算の解法の方が、簡単なのですから、教えてあげるとその場ですぐできるようになりました。
彼はできるからまさかとか、分数のかけ算、わり算がまさかなどという先入観が、小学生の時から中3まで分数のかけ算、わり算の問題から遠ざけてしまった原因となったのです。
ただ、大人数で授業をやっていると学校であれ、塾であれ、この辺の問題点は見つかり辛いものと思われます。彼の場合は、私がたまたま覗いたので見つかりましたが、個々に授業をやっていかなければ見つけるのは困難だと思われます。問題点に当たらなければ、本人もそのことを意識しませんし、外から見ても全くわからないと思います。